本を読む本 (講談社学術文庫) | J・モーティマー・アドラー, V・チャールズ・ドーレン, 外山 滋比古, 槇 未知子 |本 | 通販 | Amazon
内容
初級読書、点検読書、分析読書、文学の読み方、シントピカル読書という読書の段階。
以下、注目ポイント
第一部 読書の意味
知識のための読書と理解のための読書がある。後者は難解で積極的な読みが必要になる。
読書の第一レベルは初級読書で中等校レベルである。
読書の第二レベルは「点検読書」拾い読み、下読み、目次をなぞり表紙と表題からの類推。さらに、とにかく通読して引用文献の参照なども避ける
積極的読書には質問の設計と自分での回答が必要である。第二レベル以上の読書とは正しい質問を正しい順序でする習慣である。
一、全体として何の本か
二、何がどのようにくわしく述べられているか
三、その本は全体として真実か、あるいはどの部分が真実か
四、それはどんな意義があるか
読書もスキーのように一つの一つの動作をばらばらに切り離して考えてはいけない。
第二部 分析読書ー読書の第三レベル
点検読書を通じて、分析読書する価値があると判断した場合。
Ⅰ分析読書の第一段階ー何についての本なのか見分けるー
(1)種類と主題によって本を分類する。
(2)その本が何に関するものなのか、出来るだけ簡潔に述べる。
(3)主要な部分を順序良く関連付けてあげ、その概要をのべる。
(4)著者が解決しようとしている問題がなんであるかを明らかにする。
Ⅱ分析読書の第二段階ー内容を解釈するー
(5)キーワードを見つけ、著者と折り合いをつける
(6)重要な分を見つけ著者の主要な命題を把握する。
(7)一連の文の中に著者の論証を見つける。または、いくつかの文を取り出して、論証を組み立てる。
(8)著者が解決した問題はどれで、解決していない問題はどれか見極める。未解決の問題に関しては、解決に失敗したことを著者が自覚しているかどうか見定める。
Ⅲ分析読書の第三段階ー知識は伝達されたかー
(A)知的エチケットの一般的心得
(9)「概略」と「解釈」をおえないうちは、批評にとりかからないこと。(「わかった」と言えるまでは、賛成、反対、判断保留の態度の表明を差し控えること。)
(10)けんか腰の藩論はよくない
(11)批評的な判断を下すには、十分な証拠をあげて、知識と単なる個人的な意見を、はっきり区別する。
(B)批判に関してとくに注意すべき事項
(12)著者が知識不足である点を明らかにすること。
(13)著者の知識に誤りがある点を明らかにすること。
(14)著者が論理性に欠けるところを明らかにすること。
(15)著者の分析や説明が不完全である点を明らかにすること。
(1)補足:理論的な本と実践的な本とで分ける。さらにその中でも分ける。
理論的な本でも日常の経験の範囲外にあることがらに重点を置いてるなら科学で、そうでないなら哲学である。
分野が違えば教え方の技術も違うように、本の分類は大切である。
(5)補足:哲学書などで固有の語の使い方をしている場合や他の著者と重要語の使い方が対立している場合などに注視する。
(12)(13)(14)を立証できない場合、ある程度は著者に賛成しなければならない。なんとなく気に入らないは許されない。
多くの名著は互いに関連を持つだけではなく、ある順序で書かれている。どんな読者も自分より前の時代の著者の影響を受けているものだ。
第三部 文学の読みかた
文学には教養書と違って無防備で作品に対するものである。心動かされるままにしておかなくてはいけない。
文学の批評とは自分の好みや見方から離れてその本の感動の原因となっているものを客観的に述べることである。
第四部 読書の最終目標
第一 関連個所をみつけること。
第二 著者に折り合いをつけさせる。
第三 質問を明確にすること。
第四 論点を定めること。
第五 主題についての論考を分析すること。
シントピカル読書とは読者の興味を最優先する。また著者達が使うある共通の重要語を全部同じ意味にさせる。質問を著者に答えさせる(よう設計する)。
シントピカルな分析=弁証法的客観性。一方的にある意見を打ち倒すのではなく、昇華する。
感想
あまり内容は濃くなかった。段階を踏ませるやり口は重要に感じた。