理科系の読書術 インプットからアウトプットまでの28のヒント (中公新書) | 鎌田浩毅 | 科学・テクノロジー | Kindleストア | Amazon
内容
全体としての内容は、読書においてラクをしよう、ラクに考えようという提言。そして理系的なインプットとアウトプットの紹介。
以下、気になったところをピックアップ
1章 本と苦労なく向きあう方法、
「音楽的な読書」と「絵画的な読書」という表現で読書の連続性について語っている。推理小説のように最初から最後まで通して読むべきものと、ビジネス書のように必要なところだけ読む本と二種類の本があるという。
また2:7:1の法則と言って合う本合わない本が一定割合で存在するということ。合わない本の存在を気にしないで良いということ。
読書とは9割の既知を確認し、残りの未知を吸収していくもので、何も知らないところからはスタートできないということ。
2章 難解な本の読み方
フレームワークという表現で人間の認識アプローチを表現していて、考え方の仕組みや思考の枠組み、固定観念が著者と異なるから難しく感じると語っている。
相手の(著者の)関心に関心する「関心法」
特定のキーワードをなぞっていく「ラベル法」
分からないキーワードを理解するために数個の小見出しだけを重点的に読む「小見出し法」
3章 多読、速読、遅読の技術
多読には目的が無く、速読には目的がある。また、速読に向くほんと向かない本があり技術も必要である。
意味のある情報を網羅しようという強迫観念を捨てて、自由に本と向き合う遅読こそ重要でありそれが速読につながるという。
また本が読めないスランプが来てもそういうものと受け入れる。
第Ⅱ部 仕事を効率よく進めるための読書術
4章 アウトプット優先の読書術
「知的消費」と「知的生産」という区別をしている。前者は本の濫読、将棋を指す、教養のある会話といった知的だが生産には結びつかないものを、後者はレポートや企画書、論文といった文章に知価の高い内容を集積することとしている。
そして上記の区別を自覚することが重要だという。こうして情報生産の意味を明確にする。
語学といった時間のかかるものが知的消費から知的生産に変わるのには多大な労力がかかるので危険である。
また情報収集においては必要な量を見積り、過剰に集めず論文をスタートさせる。過剰分は自己満足である。
読書の量も「過ぎたるは猶及ばざるが如し」
5章 本の集め方、整理の仕方
入門書は3冊買う。偏りや合わない場合を避けれるほか、運命の一冊に会う確率が上がる。
6章 読書メモの取り方
本は文房具でありいくらでも汚すべき。
線を引くべきは重要な部分ではなく、自分の琴線に触れたところ。
クロスレファレンスを作る。関連する事項のページを同じ本かに関わらずメモして芋づる式に参照出来るようにする。
まとめ:「要素に分解する」と「実験してみる」(自分に合うスタイルを探す)。
補 章 読まずに済ませる読書術
本当に必要な本は人握り。
今ある本や知識で対応していくことを推奨。
感想
「○○法」といった一般化が多数出てくるところ以外は非常に読みやすい本。
著者自身の方法の紹介であり、巷の読書術のようなエネルギーを多く要する読書術ではないところは賛否両論ありそう。総じてはしがきにあるように読書の苦手な人向け。
理科系とあるがここは取っ払って、読書をしようという人全般向けな気はする。
4章のアウトプット優先の読書に特に感銘を受けた。過剰に情報を集めるインプット偏重は自分も陥ったことがあるので注意したい。全体像を見極めてからの着手というのも意識していきたい。