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福村 国春 夢中になる東大世界史 15の良問に学ぶ世界の成り立ち (光文社新書)  書評

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内容

世界史への新しい視点、比較、読解力を問題を通じて答えさせようとする東大世界史と、その解説。

 

第一部 国際社会の成立
第一章 革命によって国家は生まれた

国家は古代からあったわけでは無い。主権国家は近代に入ってヨーロッパによってつくりあげられたもの。

市民革命から

イギリス、フランス、アメリカを比較することで国家の理念『国柄』を比較できる。

ヨーロッパ諸国の原型は中世にある

一般に征服によって成立した国家は王権が強大になる。被征服民を抑え込む必要があるから。

島国・・・異なる価値観との衝突がないと、経験から保守的にならざるをえない。

よそから迎えた王が絶対王政を強力に推進して勝手な政治を展開し、これに対し国王と議会の衝突がイギリス革命(ピューリタン革命と名誉革命の総称)として起こった。国王が「暗黙の了解」に従うことを求めた。

比較とは具体的な事象の相違を、抽象的な言葉で表現しなければならない。

革命は担い手を、ひいては対立関係に注目する。

イギリスは議会と王 暗黙の了解 周辺に影響せず

アメリカ独立は植民地人(商工業者)と国王 搾取からの脱却 フランス革命ラテンアメリカ独立に影響

フランスは封建制力と一般市民 自由と平等 19世紀ヨーロッパ自由主義運動、ラテンアメリカ独立に影響

 

第2章 アメリカとラテンアメリカ諸国の差異

アメリカとラテンアメリカはともにヨーロッパ諸国の植民地として出発した

日本以外のほぼすべての国は植民地化された経験があることに留意。

アジア・アフリカとアメリカでは独立の担い手が異なる

アメリカとヨーロッパの相互不干渉を主張するモンロー宣言(1823年)

ネイティブアメリカンは移動しながら生活していた。よって支配では無く辺境に追いやることになった。

クリオーリョ 現地の白人たち

南米では白人優位の軍事独裁で国として成立したがうまく自立できなかった。

パン=アメリカ会議 ラテンアメリカ諸国を指導下においた

 

第3章 イギリスを中心に展開された「侵略と抵抗」

帝国主義について

パクスブリタニアへの組み込まれと抵抗

組み込まれるも抵抗も広くとらえる 欧米の秩序に組み込まれること自体も組み込まれで、改革<憲法の制定>も対抗

 

第4章 「抵抗」する中華世界

国際関係は国内支配とも密接に関係することがある

ベトナムは19世紀 清朝だけでなくフランスの影響も受け入れていた ユエ条約

琉球もまた中国と日本に両属していた

清成立後 朝鮮は唯一中華を受けづくという小中華の思想を掲げ年号などもそれになぞった。

 

第5章 「抵抗」の中心にはあの国がいた

1894年から1910年の反帝国主義運動

日露戦争の結果をうけ、他のアジアも奮起するなど、主人公は日本であったともいえる

 

第6章 技術革新に支えられた「抵抗」

運輸・通信技術の発展がアジア・アフリカの植民地化をうながし、各地の民族意識を高めたことについて

スエズ運河がアジアに至る航路を短縮した

モールス信号、マルコーニの無線電信

 
第7章 民衆と指導者たちの国際体験

アジア・アフリカの民族運動が成長していくとき指導者だけでなく、民衆も既に国際的な移動や交流が盛んであった。

移民についてはプル要因とプッシュ要因を考えなくてはならない

就業や教育格差、奴隷制の廃止による労働力不足や革命指導者の亡命など

 

第2部 国際社会の発展
第8章 戦争の助長と抑制

三十年戦争フランス革命戦争第一次世界大戦における戦争の助長と抑制の傾向について

主権国家、それは戦争である

存在意義を見出そうと事故を定義していくと、他者を否定することになり戦争が起こる。

三十年戦争は初の主権国家同士の戦争、すなわち初の本格的な国際戦争と言える

外国が国益を求めて参戦、特にフランスが参戦し、国家間の争いに

主権尊重、勢力均衡、国際法

ナショナリズムは(国民意識は)フランス革命のなかで生まれた概念

ナショナリズムを抑えるウィーン体制がとられた

主権尊重、勢力均衡の不足を補うウィルソンの「十四か条の平和原則」

 

第9章 世界大戦は世界を変えた

二つの世界大戦を比較し、共通する新しい性格をさぐる

総力戦 銃後の女性たちも参加した

残虐兵器の登場

革命もちらほら

戦争協力への見返り(植民地国の独立、少数民族、女性)

国際平和機構の誕生

アメリカの台頭

第10章「帝国」の終わり

第一次世界大戦前後の時期を留意し、帝国の崩壊をその解体過程の相違を意識しながら考察する

独立国家も生まれたが、未解決の問題も多く残った

三民主義

モンゴル、チベットウイグル

 

第11章 戦争の苦悩と惨禍・平和と解放の希求

第二次世界大戦中の出来事と1950年代までの世界

大西洋憲章

日本国憲法

EEC(ヨーロッパ経済共同体)

ヤルタからマルタへ

 
第3部 国際社会に残る問題とこれから
第12章 冷戦で分断された国々

冷戦は、世界の各地域で異なったあらわれ方をした

ベトナムとドイツの分裂国家の形成から統合への過程を、冷戦の展開と関連付けて

ベトナムは冷戦に緊張緩和を与えた(アメリカを東側に歩み寄させた)また、部分的にしか冷戦と関わっていない。

一方ドイツは冷戦の影響下にあり全体的にかかわっている。

多極化によるデタント

 

第13章 植民地主義の遺産

アジア・アフリカにおける植民地独立の過程とその後の動向

ライシテ フランスにおける政教分離の意

イスラームにとって宗教は個人の内面の問題にとどまらない(豚肉の禁止や一日五回の礼拝)

宗教的標準法 エブド社 風刺画

 

第14章 経験なきアジア

米ソ「新冷戦」と呼ばれた時代に、1990年代以降につながる変化が、世界各地でうまれつつあった。

ラテンアメリカ諸国のような人種と民族の坩堝の世界では特に大きな問題となったのが、植民地からの独立だった。独裁や宗教の力をかりた。

民主化は自発的であっても、環境が整ってからでないといけないと気づいた。

 

第15章 女性の闘い

西洋には人間の体は美しいという価値観が基盤にある

人為と無為という二元論

 

感想

先生と生徒が出てきて授業形式で進んでいくのに最初は面食らったが、問題を解く当事者になってほしいということかなと納得できた。

第10章はもう一歩踏み込んでほしかった。