内容
読書の重要性、効果、意義。線の引き方。
以下、注目ポイント
序 読書力とは何か
読書には読まない自由は無く、読むべきものである。
オールオアナッシングではなく、ある程度の内容理解でも読書経験にカウント。
本を読んだとは、要約が言えること。かいつまんで内容を言えるのは他人の為にもなり、読書力の向上にもなる。
重要なところに線が引ける=読書力がある。
4年以内で100冊の新書・文庫を読む。反復練習のための時間制限。
日本にはThe book (聖書等)がないので、booksが必要だった。倫理観や人間理解力の養成に多読が役に立っていた。
I 自分をつくる――自己形成としての読書
読書の意義とは自分をつくる最良の方法ということ。
様々な価値観を相対化し、絶対視による思考停止を防ぐ。
著者という優れた人物との対話であり、人に対する積極性を培う。
自分に向き合い、問いかけ、内側に向かっていくのは玉ねぎの皮をむくように、いくらむいても何もなかったという気持ちに襲われるが、読書は世界を開いてくれる。
自分探しとは自己形成のことであり、自己形成とは他人との関係性によって育まれるもので、読書とはその関係性の一助になる。
同じ著者の作品を複数読めば、著者を一面だけでなく様々な面で捉えることができ、著者をまるごと自分に収めることになる。
本とは本質的な内容で繋がっているものを近くに並べる。単独ではなく本と本を結び付けていくことで格段に理解が増す。
ぼんやりとしたものを具体化し、暗黙知や身体知を世界に引き出す。
読書の醍醐味の一つが著者と自分の認識の重なりを感じること。
他者の経験を取り込み、自分の経験と照らし合わせそれを昇華する。
ためらう=溜めること。確信を持つばかりではいけない。好きな著者の本だけでは「ためらう」心の技は鍛えられない。一つに決めずためらうことで思考停止せず吟味し続ける。
「負荷がある」分からない文章を理解しようとする作業を味わう。
II 自分を鍛える――読書はスポーツだ
読書部と言えるほど教育上で本を読みこんでいくべき。
言葉と感覚は対立するものではなく、文学作品は新しい間隔を生み出すための実験室である。(例:宮沢賢治)
素読によって外側にあった言葉が馴染む。
読書は身体的行為であり、美的に享楽的に味わう「教養派」は「素読派」に批判された過去がある。
線を引く行為は読みを積極的にする。どこに線を引くか意識することで能動的に。
緊張感をもって読んだ本は読み返す価値がある。線を引いた箇所は後々興味惹かれる。
一般的な本は主旨が存在し、線を引くべき箇所がある。
本ごとに緩急をつけて読む。
全ページを素早く読み続ける技術より、どこが大切かを判断できる方が大切。
一冊の中でもスピードを切り替える。
III 自分を広げる――読書はコミュニケーション力の基礎だ
会話に脈絡が生まれる。要点を受け入れ自分の視点で切り返す。
常に脈絡を考える。10分前の会話、文章の違う章でのつながり。
書き言葉は読書のような練習を経なければ身につかない。
感銘を受けた部分を口頭や作文で形にする。
感想
読書の大事さとやり方を事細かに、丁寧に記されている。
1~数ページの節ごとに分かれているため読みやすかった。
価値観の相対化と一冊の中でのメリハリ、そして本ごとや他人とのつながりの大切さが語られていて感銘を受けた。