harapeco20200309の日記

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【読書】2024年 5月

5月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:3953
ナイス数:15

学び直し高校物理 挫折者のための超入門 (講談社現代新書)学び直し高校物理 挫折者のための超入門 (講談社現代新書)感想
化学・生物選択だったので読みました。この手の本にありがちな現象を別の身近な「動き」に置き換えるような説明が少なく、非常に読みやすかったです。気象学について別で少し勉強していて熱力学は予習済みだったのもありますが、全体的にかなり理解しやすい書き方だと思います。ただ分野によっては天下り(法則→個別)したり、もっと数式で表現してもいいかと思いました。無機的な訓練が有機的な理解に繋がることも多いので。また、中学理科も嫌いだった人には難しいかもしれません。ただいきなり大学の初等物理の本を読むよりはましだと思います。


読了日:05月05日 著者:田口 善弘

 


疑似科学と科学の哲学疑似科学と科学の哲学感想
なるべく身近な現象をたとえに使って、具体例を重んじ初学者も読めるようになっていた。疑似科学と正当科学の「線引き問題」を軸に、科学とは何か、何とされてきたかを説く構成。疑似科学にも一定のリスペクトをもって、完全には疑似科学とは言えないものと、ほぼほぼ完全な疑似科学の間にも線を引く。ただし、ベイズ統計学的な「程度」をもって分けるのが著者の結論。 他には、前進性や豊潤性など、2002年までの科学哲学の議論を縦横無尽に類似点を見出し、対比させている。実在論非実在論は矛盾しない場合もないか?なども納得いった。

 

読了日:05月09日 著者:伊勢田 哲治

 

 


万物の黎明~人類史を根本からくつがえす~万物の黎明~人類史を根本からくつがえす~感想
どんな分野であれ、進歩史観全般が疑わしいと思っているので、内容にとてもしっくりきた。ユーラシアは互いに影響し合うせいか、紀元後に限るとバンド~国家の社会観に当てはまってしまうようだ。それへのカウンターとして北米原住民の例が豊富に掲載されていて、確かに近代国家が必然とは思えないような証拠と事例にあふれていた。 アメリカ以外の地域、オセアニアや東南アジアでもこれを支持する痕跡は無かったのかなあとは思った。発掘できるほどの何かが無いんだろうが。 ケアと暴力、保護と閉鎖と自由の喪失というアイデアも気に入った。

読了日:05月09日 著者:デヴィッド・グレーバー,デヴィッド・ウェングロウ

 


疲労とはなにか すべてはウイルスが知っていた (ブルーバックス)疲労とはなにか すべてはウイルスが知っていた (ブルーバックス)感想
生理的疲労(末端や内臓の疲労)と病的疲労を結び付けるための解説。慢性疲労症候群コロナウイルスの後遺症と、ヘルペスウイルスの関係。脳内炎症をリフレッシュする機構が阻害されて、疲労感、ひいてはうつが発症する人がいる(推定80%)。 煩雑になるのを防ぐためなのだろうが、もう少し著者の研究内容以外からの視点が欲しかった。 また、個人レベルで実践できる、疲労を防ぐ、回復する具体的な手立てが載っているわけでない。


読了日:05月11日 著者:近藤 一博

 


Through the Looking-Glass and What Alice Found There - illustrated by John Tenniel (Alice's Adventures Book 2) (English Edition)Through the Looking-Glass and What Alice Found There - illustrated by John Tenniel (Alice's Adventures Book 2) (English Edition)感想
I was so excited at this book. Creatures in the Looking-Glass world were very fond of conversations and mischief. Poor, but strong Alice ventured to talk with them, enjoying queer sights, creatures and fish-poetry.


読了日:05月11日 著者:Lewis Carroll

 


訂正可能性の哲学 (ゲンロン叢書)訂正可能性の哲学 (ゲンロン叢書)感想
人工的自然・小さな社会・感情的な営みによって、暫定的な「正しさ」を訂正していく必要性を同意できた。人工知能主義などの、一様で統一的なやり方の否定も理解出来た。しかし、程度と時間スケールの視点が抜けていると感じた。政治にも富の再分配、インフラ整備、区分け、教育など多岐に渡っているが、いずれをも一様な開放性と閉鎖性と、変化の速度を持つべきとは思わない。また、他人の技術への過信を指摘していたが、著者もまた人間の例外性、特殊性、非動物性を過信しすぎたと感じた。徹頭徹尾、ニンゲンと動物を分ける価値観が私と合わない。
読了日:05月15日 著者:東浩紀

 


増補 聖典クルアーンの思想 ――イスラームの世界観 (ちくま学芸文庫 オ-40-1)増補 聖典クルアーンの思想 ――イスラームの世界観 (ちくま学芸文庫 オ-40-1)感想
ムハンマドを通したアッラーの言葉というクルアーン以外にも、天の書といった概念やクルアーン解説書の重要性が知れた。ムハンマドをとりまく歴史的・地政学的な視点からの解釈や解説が所々に入り、自分好みだった。新規信仰としての正当性のアピールやユダヤ教徒への失望や当時のアラビア・北アフリカ文化などが垣間見えて、聖俗の揺らぎを感じれた。言語ごと広まっていったことや、一つの言語で何種類も翻訳(解説)が出ていることや、本書で何度か言及されていることから、クルアーンの持つ荘厳さと音的な魅力の存在も分かった。
読了日:05月17日 著者:大川 玲子

 


生命と非生命のあいだ 地球で「奇跡」は起きたのか (ブルーバックス B 2258)生命と非生命のあいだ 地球で「奇跡」は起きたのか (ブルーバックス B 2258)感想
地球外の話がしっかりしていて興味深かった。アミノ酸の前駆段階として簡単なものとがらくた分子が考えられるとか、RNAワールド仮説は核酸がひとりでに出来にくい分、軌道に乗るまでが難点など新しい知見を得た。生命地球外からの有機物も関係しているのだとしたら、宇宙からの飛来物の量などの宇宙物理学といった、化学以外の分野も考慮に入れる必要があって複雑だなと思った。生命と非生命を0<L<1のスペクトラムで測る観点も、地球型でない有機物の組成を持つ生命も捉えれそうで、網目の細い枠組みだと感心した。
読了日:05月19日 著者:小林 憲正

 


カラー版 名画を見る眼Ⅰ 油彩画誕生からマネまで (岩波新書 新赤版 1976)カラー版 名画を見る眼Ⅰ 油彩画誕生からマネまで (岩波新書 新赤版 1976)
読了日:05月20日 著者:高階 秀爾

 

 

 


ネットで「あなたへのオススメ」を表示する機能 レコメンダ・システムのすべて (ニュートン新書)ネットで「あなたへのオススメ」を表示する機能 レコメンダ・システムのすべて (ニュートン新書)感想
個別化、というワードが気になった。ホームのレコメンダ画面が、誰一人同一なものでないのが理想であり、既にその領域に到達しつつあるというのに驚いた。最後のレコメンデーションを用いた内面化、複数の自己の養成という結論とも結びついていて、自分の中のこの手のシステムは大して役に立たないのではという先入観が薄れた。倫理的な問題にも触れいていたが、具体的な技術面に関しては最小限だった。また、典型例だからか中盤はネットフリックスの話題がほとんどだった。検索エンジンや広告の話も期待していたが、ほぼ無かった。
読了日:05月27日 著者:マイケル シュレージ

 


カラー版 名画を見る眼Ⅱ──印象派からピカソまで (岩波新書 新赤版 1977)カラー版 名画を見る眼Ⅱ──印象派からピカソまで (岩波新書 新赤版 1977)感想
ⅠⅡ合わせて。写実から印象(色彩と形態)、そして抽象への流れが分かった。文章が素晴らしい。
読了日:05月28日 著者:高階 秀爾

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