西洋思想の物事を恣意的で中途半端な大きさの要素に分解した後、要素同士の関係性を見出すという、稚拙なマッチポンプ感を示す。
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にて、医者はいかに薬を用いて病を治すかにのみ主眼を置いている、という記述があります。栄養学の観点が抜けているということです。
不調を全て“一つ”の病を原因と考え、症状とそれを引き起こすものを一対一対応で考える。現象と原因をどちらも中途半端な範囲で捉えている例です。
「生物は自分の遺伝子を効率よく残すためにより優位な進化を遂げるはずですが、働きバチが自分の子供を作らずに他者(働きバチからみたら次世代の女王バチは姉妹)のために働く(=利他行動する)のはいったいなぜなのでしょうか?この疑問は自然選択説だけではどうもうまく説明できませんでした。」
といった前提を置いて、
「以上より、働きバチからみると、自分が血縁係数0.5の子供を作るより、女王バチに血縁係数0.75の姉妹を作らせたほうが適応度が上がるといえます。これが働きバチの利他行動の理由と考えられています。血縁係数=0.75から、この考えを3/4仮説と呼びます。
言い換えると、働きバチにとっては、自分の子供よりも自分の姉妹の方が、血のつながりが強いため、自分の子供を作らずに姉妹の世話をするのです。」
と説明しているのを、高校の生物の授業なりテストでよく見ましたが、誤ったモノの捉え方です。
これは利他行動と利己行動という、恣意的で非合理的な分類から来ています。
個体だけ見ているからこのような解釈になってしまっています。また自分たちの文化をそのまま射影しているということでもあります。
個体で捉えていたものを集団で捉えるようにもなって来たようですが、それだけでは不十分です。それは、過去の視点が抜け落ちているからです。一見非合理に見える形質も、他の有利な形質でカバーされれば、絶滅は免れます。過去に生まれて自然選択された「生存に有利」形質が現在も合理的とは限らず、何なら突然変異で生まれた瞬間から生存に中立どころか不利な形質も、その生物の適応度が1を下回り続けない限り、存続し続けます。
「生存に有利」という概念も、
①個体として同種族内でより生存に有利な形質を持ち集団内でその遺伝子が増えるというもの
②食性が近い種族より生存が有利な形質
③更にその両方を兼ねたもの
があります。
①の例は乳糖耐性です。
②の例はアメリカザリガニなどの外来種が在来種から住みかを奪う事象です。
③の例はキリンの(理論上の)進化過程などでしょうか。
とにかく、この①~③をごっちゃにして考えているのも、誤って説明をしてします原因の一つでしょう。
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のトーテミズムへの批判のくだりからも、19世紀から20世紀前半にかけて語られていたトーテミズムに、前述の中途半端な把握と解釈と結論を感じました。
西洋思想、と言うのは広すぎてひどい言い方ではあります。東洋医学は早期発見されたとしても癌を除去出来ないからダメな考えだ!と言うようなものです。しかし、傾向として確かにこうしたマッチポンプ感は存在しているように思えます。